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コイツが今熱いぜ!
〜3〜 コメディアン・寒空はだか
真空ギターを手に抱え、歌うは誰でも口ずさめる「一億人の鼻歌」。《歌うスタンダップコミック》寒空はだかの登場だ。一度見たら忘れられないキョーレツな個性とえもいわれぬ脱力感が魅力の謎の芸人の、魅力の秘密に、今回はズームインするゾ。

はだか−−−プロフィールを見たことがないので、秘密にしてるのかと思ってたんですが…。

はだか:そんなことないんですよ。どこの協会にも所属してないだけで。事務所には、一応はいってるんですけど、活動はほとんど自由にさせてもらってますし。

−−−元落研だったんですって?

はだか:高校から落語好きで、大学で落研に入ってました。大学卒業後に就職しないで芸人になろうと決めてはいたけど『あなたも落語家になれる』(立川談志・著)を読んだら、あれって「いきなり落語家になるな」っていう本でしょ。で、ある演劇グループに入ったんです。

−−−どんな劇団ですか?

はだか:今でいうと《おシャレなジョビジョバ》みたいな感じ。オムニバスのコントをやってる当時けっこうテレビでも有名だった演劇集団です。裏方が多くてあまり表には出なかったんですけど。

−−−いまの芸のスタイルはどこから?

はだか:結局その劇団はやめたんですが、劇団時代の後半からは口三味線を入れた一人コントみたいなことはやってました。現在のピン芸で舞台を踏んだのはライブハウスなんですよ。だから(というわけでもないけど)、もっと音楽寄りのスタイルでしたネ。95年にチャンスに恵まれて「文芸坐ルピリエ」でライブをやったんです。いわゆるお笑いの舞台は、同じ頃、TBSラジオの勝ち抜き番組「お笑いDOJO」が初めてです。

−−−すると芸歴はかなり長い、と。歌ネタの「曲」ってどこから着想するんですか?

はだか:テレビ番組の主題歌とかCMの音楽みたいな、唄って楽しい曲、自然に覚えて口ずさむ曲を作りたいと思って…。原点は、子供の頃によく聴いたフォーククルセダースや高田渡、吉田拓郎、かぐや姫あたりです。「東京タワーの歌」もそうやって何気なく作ったんですが、そのあまりの出来のよさにどんどん好きになって「あ、コレしかない」と。

−−−そこで、芸人としての目標は?

はだか:テレビでも、寄席でも、地方の営業でも実力を発揮できるようなオールマイティな芸人です。別にキワモノを狙ってるわけじゃないし、カルト的とか言われるとちょっと困る(笑)。

−−−子供の頃好きだったお笑いは、どのあたりですか?

はだか:やっぱ子供にも分かりやすい、早野凡平さんとか林家三平さんとか。東京コミックショーなんかも好きでしたね。

−−−あ、それ聴くと何となく分かる気がしますね。粋な芸というかスタイルをもった芸人さんたち、僕も大好きです。そういう本来の《コメディアンの王道》がめざす道ってことでしょうか?

はだか:あと、ぱぁっと爆発的に売れるんじゃなく、いつも何十年先を見てるんですよ。いろいろと考えはするけど、がむしゃらに売り込んだりする方向にはいかないですね、今のところ。とにかく「東京タワーの歌」と共に歩んでいきたい、ということです。

−−−演芸会では、浅草21世紀などにも出てらっしゃいましたよね。

はだか:浅草を《芸人としてのふる里》にしよう、と思って…。実は、浅草21世紀のオーディションに出んですけど、それによっていまの道が決定的になってきたところがあって。…浅草21世紀がやってる軽喜劇にはすごく惹かれるものがありますネ。(今の浅草はどうだ、という意見もあるようですが)僕にとっては大切なものを得られる場所だと思います。


◇◇◇聴取後記◇◇◇
「漫談」とは言えるが、断じて「ギター漫談」ではない!…ということで、芸種については当人の中でも諸説あるようだった。この人しかない!っていうような光ってるコメディアンには、ジャンルは不要。吉祥寺、名古屋、大阪と、今後続々とライブで全国リサイタルツアーを開く予定だとか。演芸場を土台にしながら、枠にはまらない活動は演芸好きにもとても気になる存在のはず。もし、これを読んでなんだそいつ?と思う人がいたら、まずは一度はだかのナマの高座に触れてほしい。低温やけどすること請け合いデス。

はだか 寒空はだか(さむぞら・はだか)
1964年埼玉県生まれ。オフィスキューアンドケイ(青空球児・好児師の事務所)所属。国内旅行業取扱主任者。CD「東京タワーの歌」(VIVID SOUND VSCD-283)。代表曲は「俺は殺し屋デンジャラス」「漁り火」「マタギ」「森本レオの歌」etc.
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